大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和26(オ)939 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差戻す。

理 由

上告理由について。

原判決は所論売渡計画については適式な公告がなされなかつた事実を確定し、同

計画は「效力を生せず、有效な行政処分として成立しないものであると判示した。

よつて、原判決について、右計画の公告がなされなかつたとする事実認定の資料を

検討してみると、原判決は、他の証拠と共に「前顕乙第十号証の公示文書には昭和

二三年一二月九日農地売渡計画の樹立が決定せられたとあるに(中略)同文書には

売渡すべき土地の正確な表示もない点」を上げている。しかしながら、自創法六条

五項の公告には、単に買収計画を定めた旨の記載があれば足り、買収すべき農地、

買収時期、対価の記載を必要としないことは既に当裁判所の判例(昭和二五年(オ)

第一一三号、同二六年八月一日大法廷判決)とするところであり、この理は売渡計

画の場合についても同様であつて、実際の事例としても、この趣旨に添うて公告が

行われるべきは想像せられるところであるから、判示公示文書に「売渡すべき土地

の正確な表示」を欠いた点を以て公告の効力を左右するものとすることのできない

はもとより、これを以て直ちに異例の事に属するものと即断することもできない。

若しこの事実を証拠として公告のなかつた点を認定せんとするには他に何らか特別

の事情あることを説示しなければならない。この点において原判決は右公告の要件

に関する法令の解釈を誤つたか、若しくは審理を尽さざる違法あるものと云わなけ

ればならない。しかして原判決が右の点を以て本件公告のなかつたことを認定する

重要な証拠としたことは原判文上うかがわれるところであるから右の違法は原判決

の主文に影響するものと認めざるを得ない。

- 1 -

よつて論旨は理由あり、原判決は破棄を免れないから、民訴四〇七条を適用して

全裁判官一致の意見を以て主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!